大分地方裁判所 平成5年(わ)87号 判決 1993年5月19日
本店所在地
大分県南海部郡本匠村大字笠掛一五七九番地の一
本店の名称
株式会社小野明組
(右代表者代表取締役 三浦悦子)
代表者住居
大分県南海部郡本匠村大字笠掛三八三番地
代表者氏名
三浦悦子
本籍
大分県南海部郡本匠村大字笠掛三八三番地
住居
右同
会社役員
三浦好
昭和二六年一一月一〇日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官藤田信宏出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社小野明組を罰金一二〇〇万円に処する。
被告人三浦好を懲役一〇月に処する。
被告人三浦好に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社小野明組は、大分県南海部郡本匠村大字笠掛一五七九番地の一に本店を置き、土木工事業等を営むもの、被告人三浦好は、被告人会社の代表取締役として業務全般を統括していたもの(平成五年四月一日退任)であるが、被告人三浦好は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 平成元年五月一日から平成二年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が三一、〇三六、九三〇円で、これに対する法人税額が一一、四八九、七〇〇円であるにもかかわらず、架空の労務費を計上するなどの行為により、右所得の一部を秘匿した上、同年六月二九日、大分県佐伯市蟹田九番五号所在の所轄佐伯税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一八、一四〇、四一五円で、これに対する法人税額が六、三三一、三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税五、一五八、四〇〇円を免れ
第二 平成二年五月一日から平成三年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が六六、三三一、七六八円で、これに対する法人税額が二三、九九九、五〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同年六月二九日、前記佐伯税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三五、九三五、七一〇円で、これに対する法人税額が一二、六〇一、〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一一、三九八、五〇〇円を免れ
第三 平成三年五月一日から平成四年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一四一、二一九、〇五四円で、これに対する法人税額が五一、九三五、一〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同年六月三〇日、前記佐伯税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七六、〇七三、七四一円で、これに対する法人税額が二七、五〇五、三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税二四、四二九、八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告会社代表者及び被告人三浦好の当公判廷における各供述
一 被告人三浦好の検察官及び大蔵事務官(七通)に対する各供述調書
一 同被告人作成の上申書
一 加藤茂巳、三浦佳一の検察官に対する各供述調書
一 御手洗堅の大蔵事務官に対する供述調書二通
一 検察事務官作成の資料入手報告書
一 大蔵事務官作成の
1 労務費調査書
2 旅費交通費調査書
3 接待交際費調査書
4 交際費の損金不算入額調査書
一 登記官作成の商業登記簿謄本二通(ただし、乙14は被告会社の関係で)
判示第一、第二の各事実につき
一 山本睦代の大蔵事務官に対する供述調書
判示第二、第三の各事実につき
一 大蔵事務官作成の
1 福利厚生費調査書
2 事業税認定損調査書
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自平成元年五月一日至平成二年四月三〇日)
判示第二の事実につき
一 大崎里美の大蔵事務官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自平成二年五月一日至平成三年四月三〇日)
判示第三の事実につき
一 佐藤武司の大蔵事務官に対する供述調書二通
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自平成三年五月一日至平成四年四月三〇日)
(法令の適用)
被告人三浦好の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。さらに、被告人三浦好の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につきいずれも同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各所定罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一二〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 矢野清美)